桜楓会

川崎支部お楽しみ会 報告

  • 川崎支部

 10月26日(金)、「明治以降別荘地として発展した大磯を 近現代史をからめて 散策しましょう」というテーマで大磯の町に参りました。参加者は総勢19人。川崎支部の活動に初めて参加してくださった方も何人かいらしたり、伝統ある女子大らしく母娘での参加もありました。
 大磯は、自然が豊かで山あり海ありの地形に、温暖な気候で、別荘地としては最適だったのだと思います。吉田茂、伊藤博文、西園寺公望、大隈重信、陸奥宗光、山縣有朋等首相を経験した政治家たちの別荘が今も残されています。
 一行は、まず、吉田茂が晩年を過ごした数寄屋造りの邸宅に行きました。大磯ガイド協会の方の丁寧な説明に耳を傾けながら、富士山・箱根の山々・相模湾が一望できる、見事に設計された各居室を見学してまわりました。あいにくの曇り空で富士山・箱根の山々をながめることはできませんでしたが、相模湾のきらきらした水面は非常にのどかでした。吉田茂のエピソードや人柄に思いを馳せました。邸宅のみならず、広大な敷地の中にさらに日本庭園・竹林・バラ園などよく整備され、訪れる人が、後を絶たないようです。驚いたことに、3年前、火災に遭い、復元されたそうですが、約5億円の工事費は、全く税金を使わず、すべて寄付で賄われたそうです。大磯の人々の町を愛する心と、住民の団結する豊かな心意気を感じました。
 それから、旧東海道をはさんで、三井財閥の別荘地跡である小高い城山公園に移動し、茶人織田有楽斎がたてた国宝の茶室「如庵」が移築されたため復元した「城山庵」で、抹茶をいただきました。その茶室を背景に取ったのが、集合写真です。なごやかな雰囲気を感じていただけると思います。
それから、大磯駅に戻り、大磯迎賓館でコースランチをいただきました。
 大正モダンな洋館は、貿易商の別荘として建てられ、国登録有形文化財に登録されています。ピッツァの薪窯を持つリストランテに再生され、大磯迎賓館と名付けられました。地元食材をふんだんに使ったスペシャルランチは、ワインもすすみ、話も弾み、大いに満足いたしました。
 そして、最後に大磯駅から5分ほど住宅街を歩き、島崎藤村が、生涯最もお気に入りだった住居を訪ねました。大正後期から昭和初期にかけて建築された簡素な平屋は、終の棲家となりました。小さな庭には藤村が好んだくちなしが当時のまま今も残っていました。
 その日は年に一度の「うつわの日」が催され、町のいろいろなところが展示会場になり、行く先々で作品に触れることが出来ました。大磯は自然を大切に、手作りを尊び、文化にあふれた歴史ある町でした。解散後は、それぞれかまぼこ屋さんを訪ねたり、澤田美喜さんの博物館をめぐったりして帰路に就いたようです。ご参加くださった皆様から口ぐちにお礼の言葉をいただき、大変うれしく思いました。
(昭和50年卒 新25理Ⅱ 太田信子)

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